■プロフィール

梅入

Author:梅入
トゥルー県在住な
漫画中毒者です
最近は自作小説作ってます

めぇる↓
うめいり1あっとgmail.com
「うめいり1あっと」を半角英数にして下さい。返信はコメントとかのが反応は早いです


ツイッターしてます

pixivはこちら




:::イベント:::


True my Family

文学フリマ

■↓将来欲しいメイド人数

■魔法少女リリカルなのは二次創作小説
■Baby Princess二次創作小説
■その他二次創作
■オリジナル創作小説

    準備中

■最近の記事
■カテゴリー
■Twitter,ネット情報関連
■日記、文章(敬称略)
■絵、漫画系(敬称略)

■創作(二次)小説系(敬称略)
■小説情報系(敬称略)
■社会情報
■食べ物屋メモ
■その他
■お知り合い
■ブログ内検索

■月別アーカイブ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
「魔法少女リリカルなのは」二次創作小説 「狂気の源泉は初恋と共に」
こちらは下記作品など、一連の私のリリカル作品の外伝話になってます。
あんなにおっかないなのはさんになる、ちょっと前・・・その原因の一端を書いてます。

「魔法少女リリカルなのは」二次創作小説 『胡蝶の夢は是非曲直に沈む』 ①

上記作品とはそのまんま地続きになっている感じです。
上記作品を読む前か後、どちらでも結構ですが読んで見ると面白いかもしれません。ちょっと長いですけど。
他の作品と比べても時間軸が一番前・・・っていう設定になってるので、読んでみると面白いかもです。

なのはさんが思いっきりSに目覚める瞬間を書きたかったのです。
あと私の妄想してるなのはさんに到る背景的なことを書いておきたかったという。

思いっきりオリキャラが一人出てきてしまいますが、ご容赦下さい。





という事で、以下恒例の注意書き。

私の芸風なので、相変わらず幸薄かったり、エログロだったり、百合ってます。
キャラクターの性格など著しく変えていたりもします。
あとリリカルなのはの公式設定と、色々齟齬があるかと思いますが、そこはこう何と言うか、ごめんなさい。

そういうのでも、いけるぜ!!と言う方は是非お読み頂ければと。


それでは、本編は「続きを読む」で始まります。



白衣に身を包む老人が居た。
男の名は、クレオス。
痩身痩躯、病的なまでに細い肉体は離れた場所からも男の存在を知らしめる。
しかし、クレオスにはそれを上回る特徴があった。
眼だ。
ぎょろりとした巨大な義眼が眼窩を文字通り目一杯に広げ、埋め込まれていた。昆虫のような義眼はクレオスの視界を大きく広げ、世界中を見渡すかのようなパノラマ映像が脳内に伝達される。クレオスにとって、最初の発明品でありお気に入りの一品である。幼い頃に事故で視力を失い、明るい世界を取り戻したいがために必死で勉強した努力の結晶でもある。
そして、その異様な容貌から「トンボ」などという仇名で呼ばれる事もあり、管理局でも風変わりな研究者として名が通っている。
クレオスの職業は管理局兵器開発部に所属する科学者であり、その名を知らぬものは居ない。クレオスが得意とする分野は薬学、医学、心理学。どれもが戦闘兵器開発には直接関係の無いものと思われるが、それは大きな間違いである。
クレオスはインテリジェントデバイスの開発に大きく携わっていた。
それまで主流だった簡易的、機械的なインテリジェントデバイスには不可能だった、兵器と人間のコミュニケーションこそが魔力という人間の精神力に大きく左右される不確実性の高いエネルギーを制御するためには必要だとクレオス考えた。古代ベルカの時代には多くのデバイスは使用者と心を通わせ、強大な力を発揮したと言う。クレオスはインテリジェントデバイスに学習機能や使用者の健康管理、心理状態の把握等出来うる限りの機能という名の心を詰め込んでいった。それこそが、どんな技術をも上回ると信じて・・・。

魔法とは、心の力だ。科学の力はそれを補助しているに過ぎない。
その原理的、根源的な考えは技術としての魔法を運用する、現代の時空管理局では笑い種にされる。しかしクレオスはこの考えを覆さない。魔法とはもっと計り知れない力なのだと信仰していた。
己の義眼を盲目のまま開発していた時に、何度も挫折した。ある日、通院していた管理局付属の病院で一人の幼い魔術師と出会い、自分の目標を話した。自分とはだいぶ歳の離れた彼女は真摯にクレオスの話を聞いてくれていた。そして別れ際に聞いた言葉。
「魔法の力は、あなたのように真っ直ぐ努力する人を決して裏切らない。絶対に諦めずに、頑張ってね」
それ以来、クレオスは寝る時間を惜しんで研究した。その成果として視力を取り戻し、管理局にスカウトされる程にまでなっていた。あの時に出会った少女とは、一度も会えていない。一言、お礼を言いたかったが、彼女はもう既にこの世に居ない。彼女の名前は、プレシア・テスタロッサ・・・。

クレオスはいつか、絵本に登場するような不可思議にして超常的な魔法を使役する魔術師を育てたいと考えていた。カボチャを馬車に変えたり、人魚を人間にしてあげたり、貧しい子供に幸せを与えられる魔法。それらは決して科学の力ではなし得ないだろう。
いつか、そんな魔法を生み出してくれるような存在に出会える事を願いながら日々を過ごしていた。

そんなある日、彼が開発に携わっていたレイジングハート(RH)が、まともな魔術の訓練も受けたことの無い異世界の・・・若干九歳の少女の手により、極大魔力収束砲を放ったという。相手の少女もまた同じく九歳であり、超人的な魔法技術を体得しており使用していた黒光りするインテリジェントデバイスからは作成者の少女に対する深い愛情が感じられた。
そして、事件の首謀者はクレオスに希望を与えてくれたプレシア・テスタロッサだった・・・。クレオスは運命を感じずには居られなかった。昔、自分を元気付けてくれた彼女はとても純真無垢で真っ直ぐな少女だった・・・だからこそ、あのような事件を起こしてしまったのかもしれない。残された娘であるフェイトが事件後に、戦った相手である高町なのはと共に笑顔で写っている写真を見た。そこには、挫折した自分を勇気付けてくれた幼い頃のプレシアとそっくりの笑顔があった。
クレオスは二人の少女に夢中になった。
何度もアプローチを試みるも、レイジングハートの使用者、高町なのはは異世界・・・それも管理外世界に居る事もあり、直接会いに行くためには書類手続きやら煩わしい雑務がまとわりつき、もう一人の少女フェイト・ハラオウンは保護観察中にして、あの数々の生きる伝説を生み続けるハラオウン家に引き取られた事もありガードが固く、こちらも会うに会えなかった。クレオス自身も日々の職務が多忙を極め、中々会う機会に恵まれないままでいると、二人の少女は管理局全土にその名を轟かせた。
「闇の書事件」・・・高町なのはとフェイトは、あの解決不可能と言われていた永久機関を停止させる事に成功した。
事件の中で、二人のデバイスは自ら成長を望んだと言う。
その話を聞き及び、感動の余りその特徴的な昆虫型の義眼を震わせ泣いた。

クレオスの理想としていた、インテリジェントデバイスと心を通わせ、一心同体となる事こそがあらゆる全てを超越する力を生み出すという持論を、二人の少女は体現してみせたのだ。

クレオスはそれから、高町なのはとフェイトに深い親愛の情を抱いた。
彼女達こそが、自分の求めていた理想の魔術師だった。
クレオスにとっては、自らが信仰する神の顕現にも等しいものであり、彼女達へ心酔していった。

しかし、クレオスが二人に会う機会は相変わらず山積みの業務が邪魔をした。また、彼女たち自身が管理局での任務に従事する事になったため、お互いが多忙の身となり、時間は無為に過ぎ去っていった。

だが、更なる運命に導かれるようにして出会いの機会が訪れた。
高町なのはが十一歳の時、任務中に撃ち落された。まだ幼く未成熟な少女の体に蓄積された疲労が集中力を鈍らせた。未確認兵器からの一撃で、高町なのはは生死の境を彷徨っていた。
クレオスはその時に抱えていた、全ての業務も会議も投げ打って高町なのはの元に駆け付けた。高町なのはの受けた傷は殆ど致命傷、桁外れに高い防御力が常人なら死の淵へと真っ逆さまに叩き落すはずの攻撃をギリギリの所で食い止めていた。
クレオスは持てる全ての能力、技術を吐き出して高町なのはを蘇生させた。
十数時間に及ぶ手術を終えて、安定した心拍数を示す波形を確認した後、クレオスは自身も安堵の表情を浮かべると、その場でクズ折れるようにして意識を失った。


クレオス自身から高町なのはに会いに行く事は無かった。
信じられない事に、クレオスは高町なのはに恋をしていた―――初恋だった。
それまで研究一筋で、色恋沙汰とは関係ない場所に居た。しかし彼女の肉体を余すところ無く触り、弄り、繋ぎ合わせて居る間に感じていたのは異性としての愛情だった。
手術後に倒れたと人から聞いていた。それはきっと彼女の無事を安心した事もあるだろうし、彼女への恋心に目覚めてしまった衝撃によるものだろう。
既に六十代にさしかかろうかと言う年齢にも関わらず、自分の人生の六分の一しか生きていない少女に激しく恋をしていた。彼女のためなら、全てを投げ出しても良いと思える。しかし、彼女にはフェイトという友人以上の存在が既に居る。自分のような浅ましい人間がそこに混じるなど到底無理だろうし、そんな事はしたくなかった。
高町なのはの笑顔が見られればそれで良い。
愛しき彼女の咲き乱れる桜花のような表情を見ているだけで、満足だった。
・・・そうは言っても、初恋だ。自らの恋心を隠しきれるはずも無い。
彼女が入院している病院に何度も足を運んだ。その度に面会申し込みの用紙を何度も書いては破り捨てた。手術中、高町なのはの狂おしい程に魅惑的な肉体の内も外も、余す所なく触っていたはずなのに、顔を合わせる事も気恥ずかしくて出来ない。心理学を得意分野と言いながら、自らの体たらくにクレオスは落胆した。
そうしていく中でも、高町なのはに会えない時間はより一層、恋情を研ぎすます。
いつしか、クレオスの中で高町なのはは恋の対象から、崇拝の対象へと変貌していた。


高町なのはが、クレオスの元を訪れたのは自力歩行が出来るようになってから直ぐの事だった。
「あなたが、私を助けてくれたクレオス教授・・・でしょうか?そ、その節は、ありがとうございました!」
管理局の事務棟から離れた兵器開発部に突然訪れた高町なのはは、鈴の鳴るような麗かな声でクレオスに向かって大きく頭を下げながらお礼の言葉を伝えた。
驚いたのはクレオスだった。まったく知らされていなかった突然の訪問にあたふたするばかり・・・自身にとって崇拝するべき神とも、秘めた恋心を抱く片思いの相手とも言える少女の出現に、手に持っていた試験管を取り落として中身をぶちまけたまま、しばらく固まって何も言えなかった。

歳の離れた同僚から水を一杯もらい、それなりに落ち着きを取り戻したクレオスは研究所の応接間へと高町なのはを通した。
休憩室の冷蔵庫に入っていたオレンジジュースをテーブルに差し出しながら、しどろもどろの口調でクレオスは辛うじて声を出した。
「と、と・・・突然の、ことで・・・その、大した物も用意できなくて・・・、ま、真に申し訳ございません。何でしたら、今すぐにでも市街区で最も高名なパティシエを呼んで、ここで・・・そうだ、ケーキ・・・ケーキでも作ってもらいましょうか!?」

自分の背丈に半分も満たない少女を前に、おろおろとする壮年男性に高町なのはが遠慮がちに口を開く。
「あ、あの・・・そんなに、特別な事はしてもらわなくてもいいんです。私こそ、お礼にお菓子ぐらい持って来られれば良かったんですけど。お礼が言いたくて飛び出して来ちゃって・・・こちらこそ、すいません」
何を頼めば良いのか分からず、研究室に居る若年層に聞いてこようかと思案していたクレオスが高町なのはの声を聞いて義眼が飛び出しそうな勢いで振り向くと、バランスを崩してずっこけそうになる。
その様子を、苦笑いしながら高町なのはが佳音を響かせる。
「何度か、電話やメールでも連絡しようかと思っていたんですけど、やっぱり直接お礼をいいたくて・・・。ちゃんとアポを取らないと、ご迷惑でしたよね?ごめんなさい」
「めっそうもございません!!こちらこそ、一度もお見舞いに行けず申し訳ございませんでした!!」
気まずそうに言う高町なのはに、クレオスが喉が裂けんばかりの声で返事をする。
互いに頭を垂れたまま、数瞬の沈黙が流れる。
その静寂を破るのは、高町なのはの軽やかな笑い声。
「あははは!私達、同じ事考えてたんですかね?私も、ベッドに居る間に電話でも何でもお礼は言えたはずなんですけど・・・その、フェイトちゃん以外に私の体を見られちゃったのかなぁって思ったら、恥かしくて・・・はは・・・」
少し頬を染めた高町なのはが上目遣いで語りかけるのを前にして、クレオスが震える手指を隠すようにして後ろ手に回しながら言う。直立不動の姿勢は軍隊のソレだった。
「こ、こちらこそ・・・もっと早くにお会いできれば良かったのですが・・・その、申し訳ありません」
恥かしくて会いに行けなかった、とは言えなかった。クレオスは自分の情けなさに苦悶する心中を悟られないように、努めてゆっくりと高町なのはが座るソファの対面に腰を下ろす。

「改めて、助けて頂いて本当にありがとうございました。あの時、クレオス教授が居なかったら私はそのまま死んでいたかもしれない、良くて意識が戻らずに一生眠ったままだったかもしれないって聞いています。そんな事になったら、特に後者の場合はフェイトちゃんを苦しめるだけだったから・・・感謝しています」
真摯な眼差しで真っ直ぐにクレオスの昆虫型義眼を見つめたまま、可愛らしい唇から感謝の気持ちを口にする高町なのは。クレオスは心を奪われる。

「確かに君の肉体は搬送されてきた時には心肺停止状態、脳波も微弱だった。私があらゆる術式を施しても、命を繋ぐだけで精一杯だったと思う。しかし、手術室に君の友人であるフェイトさんが訪れてから状況が変わった。君の手を握って一生懸命に頑張るように叫ぶ力強い声が響くたび、君の体は生命力を取り戻した。結局、最後は君自身の力で助かったんだよ。私はその手助けをしたに過ぎない」
「ええ、その事はフェイトちゃんから聞いています。凄く嬉しかった・・・。信じてもらえないかもしれないですけど、眠っている間私にはフェイトちゃんの声が聞こえていたんです。頑張れ、頑張れって」
「信じますよ。私は目の前で一部始終を見ていたのですから」
高町なのはと会話をしていく内に、徐々に平静を取り戻してきたクレオスは紙コップに入れたコーヒーを一口飲み込む。舌を刺激する苦味がクレオスの欲求を思い出させた。
ずっと聞きたかったのだ。長い間、恋焦がれた相手の強さは何に起因するのか。
「先程も少し話に出てきましたが、あなたはまるで自分の事よりも友人のフェイトさんの事を大切に思っているように感じられる。自分はどうなっても良い・・・という自己犠牲心の現れなのでしょうか?それが、あなたを死の淵から蘇らせた力の源?」

先程まで、明るい口調でコロコロと鈴の鳴るような声を上げていた高町なのはが、一瞬間、口を閉ざして俯いた。しかし、声は聞こえてきた。まるで泥の中から這い出てくるような、ほの暗い何かを纏った状態で。

「自己犠牲心なのかどうかは・・・分かりません。分かりません・・・けど、私はフェイトちゃんのために強くなろうと思いました。今回の件で心の底から思いました。私はフェイトちゃんを守るために管理局に入ったようなものです。フェイトちゃんは、私の大切な存在・・・何も取り得が無くて、周りから取り残されてきた私が、初めて心の底から願って、頑張って、手に入れられた幸せなんです。そんなフェイトちゃんを守るためなら、私はどんな事だってします。ただ、私が居ない世界でフェイトちゃん一人だけになんてさせられません、だから私一人だけが先に居なくなってしまうのも駄目なんです。自己犠牲心と言うには余りにも我侭過ぎますよね」

クレオスの眼前で、一人の少女が変貌した。
全身に冷水を浴びせられたように、心身が凍えて動作を停止してしまう。
先程までの、少女らしさが消えたばかりではない。禁忌とするべき、何かを呼び覚ましてしまった。
しかし、クレオスは高町なのはに質問を続ける。今こそクレオスは長年思い続けてきた少女が抱えた強さの秘密に肉薄しているのだ。

「君は、フェイトさんに依存しているのではないかな?君が抱えているのはフェイトさんへの愛情であると共に、君自身の自己同一性を満たすための独占欲ではないかね?君は『フェイトさんを人生の暗闇から救った自分、か弱いフェイトさんを守ってあげる自分』を自らの役割として自己の内部に沈静するモラトリアムに抗っている・・・私にはそのように見える」
彼女は、早熟なのだ。
余りにも成長が早すぎる。幼い頃から、多忙な家族に育てられてきた事による孤独と我慢を強いられても賢い彼女はそれに耐えてしまった。それが精神の成長を促してしまった・・・周囲の成長と異なる速度で成長してしまった彼女は少しずつ、歪み始めていた。それを解消したのが、フェイトを救う事が出来たという成功体験だろう。彼女は初めて自らの意思を強く発露し、初めて自らの限界に挑戦した。その結果得られたのが、あのような可憐で幸薄い少女なのだ。高町なのはが全力でフェイト愛するのは当然だろう。
これからも、高町なのははフェイトを幸せにするために全力を尽くすだろう。
しかし、それだけではない。彼女は、強欲なのだ。

「私はフェイトちゃんが大好きです、愛しています。毎日毎日、一緒に過ごしている内にその思いは強く、大きくなっていきます。きっとフェイトちゃんも同じ気持ちで居てくれていると信じています。だから、私はフェイトちゃんにも私だけを見ていて欲しい・・・。
時折、思うんです・・・フェイトちゃんが、私だけに見せてくれる特別な、あの可愛らしい笑顔を私以外に向けてしまっているんじゃあないかって・・・。フェイトちゃんは誰にでも優しいから・・・」

高町なのはが顔を上げて、クレオスの顔を覗くように見つめる。
その両眼は斑色に歪み、混濁していた。
「もしも君が手術後に一生眠ったままの体になってしまっては、フェイトさんが可哀想だと言っていたが・・・君の本心は、自分の手が届かない場所でフェイトさんを他人に奪われてしまう事を恐れているんじゃあないのかね?そんな事をされてしまっては、君はせっかく手に入れた自己同一性を失ってしまう。それが何よりも、恐ろしかっ―――」

クレオスの言葉は途中で止められた。
額に押し付けられたRHの衝角が冷気を伝わらせてきていた。
高町なのはが何をしたのか、クレオスの全方位を見渡せる義眼をもってしても認識する事は不可能だった。刹那の間に高町なのははテーブルに飛び乗って、クレオスの頭部を一撃で爆砕させ得る得物を突きつけていた。

高町なのはが濡れた声で囁きかける。
もはや眼前に居るのは少女ではない、一匹の魔獣だった。
「言ってあげる。これが聞きたいんでしょ?私は、フェイトちゃんが大好き。フェイトちゃんは私のもの。フェイトちゃんは私以外にはあげない、誰にもあげない。ずっとずっと一緒に居たいの・・・。どちらか片方が欠けてしまうなんてありえないの、私とフェイトちゃんはずっと一緒なの・・・一緒なの!!」

高町なのはの凄まじい凶顔、そこから伝わるのは狂おしい愛情と自らを焼失させそうな焦燥感。
「クレオスさんには感謝してるの、これは本当。フェイトちゃんを一人になんて出来ない。フェイトちゃんは可愛いから、すぐに汚らしい害虫が寄り付いてくるもの。そう・・・ただでさえ、フェイトちゃんは最近あの子供達に気を奪われて・・・・。私が、私が・・・居るのに・・・!」
高町なのはが苦悶の表情を浮かべながら言う。

クレオスは砲口を突きつけられている間も、高町なのはの吸い込まれそうな狂眼に見蕩れていた。いつの間にか股間は膨らみ、自身の情欲を満たして居る事を示す。クレオスは自分にマゾヒズムの性向がある事を長い人生の中で初めて知った。

「フェイトちゃんに、寄り付くあの子供達・・・。私だけのフェイトちゃんなのに・・・。フェイトちゃんが変わっていってしまう。私だけを残して、いってしまう。それが、怖い。いつまでも、出会った頃のままで居たいのに」

クレオスも聞き及んでいた、フェイトが管理局の仕事を通じて、任務中に助けた孤児の世話をしているという話。それは、彼女にとって人間的成長を大きく促す素晴らしい行為だろう。そして、フェイト自身は成長していく自身を愛する高町なのはに見せたいのだろう。フェイトという少女はとても強い精神を持っている。高町なのはに心配を掛けないように一人立ち出来る様になった自分を見せて、喜んで欲しいと思っているのだろう。
それが、高町なのはにとって、どれほど残酷無情な行為に当たるのかも彼女はまだ、気付いていない。だからこそ、高町なのははここまで憔悴している。決して長期に渡った療養やリハビリによるものではない、そもそも撃墜されるに至った疲労や衰弱の原因はフェイトの成長が高町なのはの心を焼き焦がしていた事に起因しているのかもしれない。
クレオスはゆっくりと、額に押し付けられていたRHをどけると、高町なのはに提案する。

「君に、協力しよう。これは、私からのお礼だよ。今、管理局は新兵器の開発に躍起になっている。そのどれもが新型技術の導入や人造生命体、機械化兵士などというものばかりだ。しかし、私は魔法が本来持っている人間の精神力に影響するという性質こそが最良の効果を示すと思っているのだよ。君のRHはその最たる例だ。管理局史上、私が知る限り君とRHの信頼関係を上回るものはない。そして、フェイトさんに関わる底無しの愛情への飢餓感。それらが絶妙なバランスで組み合わさって、君は膨大な危うさを孕んだ強さを得ている。
私は、そんな君に見蕩れていたんだよ。もう三年前か・・・君がフェイトさんを救った時からずっとね、長年のファンだよ。私の理想とする魔法使いとしての強さを誰よりも体現している君に心を奪われてしまった」

クレオスの言葉を聞いて、高町なのはがRHを引く。
「協力?あのフェイトちゃんにまとわり付く子供達を始末してくれるっていうの?」
不遜な目付きで、自分の何倍も年上の男を見下ろす高町なのは。
クレオスは淫魔を思わせる少女を前に、首を横に振る。
「いや、そんな事はしない。私は直接的に君が有利になるような事はしない、君自身私のような部外者に愛するフェイトさんとの間に入って欲しくないだろう。問題は自分自身で解決したいはずだ。だから、私は君が理想を叶えるため、ほんのちょっとの手助けをしよう。夢を叶えられるかどうかは、君の努力次第」
クレオスは懐から、小さな薬瓶を取り出す。中には薄いガラス音を響かせる、僅か二粒の錠剤が転がっていた。
「これは、君の願いを限りなく近い形で叶えてくれる魔法の薬だと思って欲しい。今はこの二錠しかないが、君が欲すれば幾らでも作ろう」
高町なのはがクレオスの手から薬瓶を受け取る。錆色の瓶に蛍光灯の明かりが吸い込まれた。
「その薬は『成長を止める』のだよ。人間が本来持っている成長の力を抑制させる。つまりは、不老薬だ。管理局からの極秘指令で私は『睡眠を必要としない兵士』を研究していてね、その過程で睡眠と成長ホルモンの関係性に気が付いた。そして副産物的にこの不老薬を開発する事が出来た。この薬を飲めば少なくとも外見年齢的には不老になれる、理論上は寿命も延びるはずだ。きっと官僚主義の横行している今の管理局にはこの不老薬の方が余程喜ばれるだろうとは思うがね、残念ながらこの薬は成長ホルモンに反応するよう作られているので、それが多量に分泌される年若い世代にしか効かない。
ただ、この薬を服用すれば副作用というか・・・本来の役割である『睡眠を必要としない』体になってしまう。眠る事が出来なくなるのだよ、ずっと起きたままだ。マウス実験では起きたまま夢を見るという幻覚症状も併発していたし、人間に投与した事は無いのでどうなるのかは、私にも分からない」
一息に説明したクレオスが更なる興奮に包まれる。
高町なのはは説明を聞いている間に薬瓶を開けて、中に入っていた二粒の錠剤を飲み込んでいた。
ごきり、と高町なのはの喉が骨を折ったような音を上げた。
閉じていた瞼を開け、高町なのはがクレオスを真っ直ぐに見つめる。
「もっと、沢山頂戴。私の理想を叶える、魔法の薬をもっと、もっと!!」
高町なのはは喜んだ。
クレオスの予測通りだった。長い間、彼女に恋をしていた―――今、初めてその愛しい相手と繫がる事が出来たのだと思うと嬉しかった。
彼女は、絵本に出てくるような魔法使いにはなれないかもしれない。余りにも人間臭すぎるのだ―――だからこそ、美しい。狂おしい程に愛情を求めて走り続ける姿は幼子のようでもある。だからこそ、高町なのはこそがクレオスの理想を体現してくれるだろう。
魔法は心の力だ。
今の高町なのはを上回る者など居ない。
正邪を省みず、自らの欲望のままに彼女は力を振るうだろう。しかし、その力は科学の力では太刀打ち出来ない強さになる。
彼女の前に立ち塞がる事が出来るのは同じく魂の咆哮を魔法へと変えられる者だけだろう。きっとその者達がこれからの世界を率いて行く存在になる。
自分は、舞台裏でその様子を見ているだけで良い。

高町なのはがテーブルの上に立って、クレオスを見下ろしながら言う。
「ねぇ・・・教授、教授は私の事が好きなの?そんなに膨らませる程、私の事が好き?」
クレオスが、心臓を鷲掴みにされたような気分になる。
高町なのはの嘲笑交じりの声が続けられる。
「そんなに大きくして・・・気付かれないと思ってたの?教授は、変態さんなのかな?私みたいな小さい子に欲情しちゃって・・・この変態!」
嗜虐心に溢れた唇から、涎を垂らしながら高町なのはがクレオスの怒張した股間を小さな足で思い切り踏みつけた。
クレオスが全身を仰け反らせて、くぐもった声をあげる。
急所を踏み付けられた苦痛と、高町なのはの柔らかい踵の感触が筆舌に尽くし難い快楽を与えた。
「でも、教授はとってもとっても素敵なプレゼントをくれたから、特別に私のペットにしてあげる。私の体はフェイトちゃんだけのものだから、絶対にあげないけどね。その惨めで浅ましい性欲を吐き出す手伝いぐらいはしてあげる、ペットの躾をするのと同じ・・・こんな風にね!」
高町なのはがクレオスの股間を踏み躙る。その度に震える、クレオスの姿を見て高町なのはが狂ったように嗤う。恐らく、既に薬の効果が現れ始め、全身には成長を無理矢理止めるという人間が本来持っている機能を抑えた事で骨肉を焼き砕くような痛みが駆け巡っているはずなのに・・・高町なのはは恍惚とした表情を浮かべたままだった。

何度も何度も踏みつけられている間に、クレオスの陰茎がより一層膨らみ、亀頭が腫れ上がる。とどめとばかりに高町なのはが思い切り強く踵を叩きつけると、その瞬間クレオスは何年ぶりかも分からない射精をしていた。
噎せ返るような強い臭いが、室内に立ち込める。クレオスの股間はびっしょりと濡れ、下着とズボンの壁を越えてしまった精液が高町なのはの足裏にこびり付いていた。靴下にねっとりとまとわり付く熱い精液を高町なのはが汚物を見るような眼で見下ろす。
「気持ち良かったの?こんなに、汚いの出しちゃって。知ってるんだよ、これ精液でしょ。男の人の汚い赤ちゃんの素。私とフェイトちゃんにはこんなのいらない、子供なんていらない、未来なんていらない。ずっと二人きりで居たいんだもの。ほら、教授・・・舐めて、綺麗にして下さいよ。こんな臭いを付けて戻ったら、私が何を言われるか分からないでしょ」
高町なのはが小さな足首をクレオスの口元に差し出す。
一瞬迷った後、クレオスは言われた通り高町なのはの可愛らしい足指に舌を這わせる。自らの吐き出した精液の味を舌で感じながら、ほのかに香る高町なのはの汗の匂いにますます興奮した。

クレオスは高町なのはの親指を口内に含みながら強く思う。
自分は、彼女の言う通り異常な性愛嗜好を持っているのだろう。
だがそれでも良い。彼女と関わっていられるなら・・・。舞台裏で見ているだけでは彼女にこうして触れる事は出来なかったかもしれないのだから。ほんの少しでも彼女に存在を意識してもらえるならば、叶わぬ恋心も少しは報われるというものだ。
彼女が幸せになれるよう、全力を尽くしてバックアップしよう。
それが自分の思想を体現し、恋心を示すことになる。
クレオスは今までの人生でもっとも輝かしい時を迎えた事に喜びを抱いたまま、高町なのは眼下で這い蹲るようにして足指にキスをした。

とても幸せだった。


自作小説 | 19:00:27

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。